医療関係者
20歳未満の患者さんを診ている医療者の方へ(2025.02.13)
「小児慢性特定疾病医療費助成制度について」
児童福祉法に基づき、厚生労働大臣が定める小児慢性特定疾病にかかっている児童等について、健全育成の観点から、患者家庭の医療費の負担軽減を図るため、その医療費の自己負担分の一部が助成されます。新規申請は18歳の誕生日まで、更新が承認されれば 20歳の誕生日まで利用可能です。
小児リウマチ性疾患は、「膠原病群」の 1.膠原病疾患、2.血管炎症候群、3.再発性多発軟骨炎、4.皮膚・結合組織疾患、5.自己炎症性疾患と、「皮膚疾患群」の 10.限局性強皮症が対象となっています(表1)。「疾病の状態の程度(医療助成対象)」は、「膠原病群」が“治療で非ステロイド系抗炎症薬、ステロイド薬、免疫調整薬、免疫抑制薬、抗凝固療法、γグロブリン製剤、強心利尿薬、理学作業療法、生物学的製剤又は血漿交換療法のうち一つ以上を用いている場合”で、「限局性強皮症」が“ア. 四肢又は頭部に変形があり継続的な治療を要する場合 イ. 運動障害、知的障害、意識障害、自閉傾向、行動障害(自傷行為又は多動)、けいれん発作、呼吸異常、体温調節異常、温痛覚低下のうち一つ以上の症状が続く場合、のいずれかに該当する場合”です。医療助成に関わる自己負担上限額(表2)は一般と重症(表3)で異なりますが、いずれも指定難病の上限より負担が軽くなります。難病の医療助成制度と似ているのですが、診断基準、重症度基準、自己負担額上限のいずれも異なる体系です。
医療支援事業(医療費助成)以外に、日常生活用具給付事業(車いすや歩行支援用具など) や、療養相談会などの自律支援事業も担っているため、乳児医療/こども医療受給者など医療費負担の少ない患者および家族にとっても負担軽減につながります。
なお、申請のための医療意見書を作成する医師は、予め都道府県知事等に指定された「指定医」であることと定められています。以下(表 4)を参照の上、勤務先の医療機関の所在地を管轄する都道府県知事・指定都市市長・中核市市長・児童相談所設置市市長に申請を行ってください。指定医は小児科に限らず、内科や整形外科の医師も取得することができます。
なお、申請のための医療意見書を作成する医師は、予め都道府県知事等に指定された「指定医」であることと定められています。以下(表 4)を参照の上、勤務先の医療機関の所在地を管轄する都道府県知事・指定都市市長・中核市市長・児童相談所設置市市長に申請を行ってください。指定医は小児科に限らず、内科や整形外科の医師も取得することができます。
[表1] 小児慢性特定疾病対象である小児リウマチ性疾患
【6】膠原病群 | |
---|---|
1. | 膠原病疾患 |
1 | 若年性特発性関節炎 |
2 | 全身性エリテマトーデス |
3 | 皮膚筋炎/多発性筋炎 |
4 | シェーグレン(Sjögren)症候群 |
5 | 抗リン脂質抗体症候群 |
6 | ベーチェット(Behçet)病 |
2. | 血管炎症候群 |
7 | 高安動脈炎(大動脈炎症候群) |
8 | 多発血管炎性肉芽腫症 |
9 | 結節性多発血管炎(結節性多発動脈炎) |
10 | 顕微鏡的多発血管炎 |
11 | 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 |
3. | 再発性多発軟骨炎 |
12 | 再発性多発軟骨炎 |
4. | 皮膚・結合組織疾患 |
13 | 全身性強皮症 |
14 | 混合性結合組織病 |
5. | 自己炎症性疾患 |
家族性地中海熱 | |
クリオピリン関連周期熱症候群 | |
TNF 受容体関連周期性症候群 | |
ブラウ(Blau)症候群/若年発症サルコイドーシス | |
中條・西村症候群 | |
高 IgD 症候群(メバロン酸キナーゼ欠損症) | |
化膿性無菌性関節炎・壊疽性膿皮症・アクネ症候群 | |
慢性再発性多発性骨髄炎 | |
インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症 | |
15 から 23 までに掲げるもののほか、自己炎症性疾患
|
|
【14】皮膚疾患群 | |
10. | 限局性強皮症 |
15 | 限局性強皮症 |
[表2] 小児慢性特定疾病の医療費助成に係る自己負担上限額 単位(円)
階層区分 | 年収の目安 (夫婦2人子1人世帯) |
自己負担上限額 (患者負担割合:2割、外来+入院) |
||
---|---|---|---|---|
一般 | 重症 | 人工呼吸器等装着者 | ||
I | 生活保護など | 0 | ||
II | 市町村民税 低所得I(〜約80万円) | 1,250 | 500 | |
III | 非課税 低所得I(〜約200万円) | 2,500 | ||
IV | 一般所得I (市町村民税7.1万円未満、〜約430万円) |
500 | 2,500 | |
V | 一般所得II (市町村民税25.1万円未満、〜約850万円) |
10,000 | 5,000 | |
VI | 上位所得 (市町村民税25.1万円〜、約850万円〜) |
15,000 | 10,000 | |
入院時の食費 | 1/2自己負担 |
[表3] 小児慢性特定疾病の重症患者認定基準
[1] 費用が高額な治療を長期間にわたり継続しなければならない者として厚生労働大臣が定めるもの(厚生労働省告示第四百六十二号の一)
1か月に受けた小児慢性特定疾病医療支援につき健康保険の療養に要する費用の額が5万円を超えた月数が、6か月以上ある者
[2] 療養に係る負担が特に重い者として厚生労働大臣が定めるもの(厚生労働省告示第四百六十二号の二)
以下のイもしくはロに該当すると認められたもの
イ. 小児慢性特定疾病児童等であって、次の表に掲げる部位等のいずれかについて、同表に掲げる症状の状態のうち、1つ以上が長期間(おおむね 6 か月以上)継続すると認 められるもの
対象部位等 | 症状の状態 |
---|---|
眼 | 眼の機能に著しい障害を有するもの(視力の良い方の眼の視力が0.03以下のもの又は視力の良い方の眼の視力が0.04かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの) |
聴器 | 聴覚機能に著しい障害を有するもの(両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの) |
上肢 | 両上肢の機能に著しい障害を有するもの(両上肢の用を全く廃したもの) 両上肢の全ての指の機能に著しい障害を有するもの(両上肢の全ての指を基部から欠いているもの又は両上肢の全ての指の機能を全く廃したもの) 一上肢の機能に著しい障害を有するもの(一上肢を上腕の2分の1以上で欠くもの又は一上肢の用を全く廃したもの) |
下肢 | 両下肢の機能に著しい障害を有するもの(両下肢の用を全く廃したもの) 両下肢を足関節以上で欠くもの |
体幹・脊柱 | 1歳以上の児童において、体幹の機能に座っていることができない程度 又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの(1歳以上の児童において、腰掛け、正座、あぐら若しくは横座りのいずれもできないもの又は、臥位若しくは座位から自力のみでは立ち上がれず、他人、柱、杖、その他の器物の介護若しくは補助によりはじめて立ち上がることができる程度の障害を有するもの) |
肢体の機能 | 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、この表の他の項(眼の項及び聴器の項を除く。)の症状の状態と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの(一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの又は四肢の機能に相当程度の障害を残すもの) |
ロ. 小児慢性特定疾病児童等であって、次の表に掲げる疾患群のいずれかについて、同表の治療状況等の状態にあると認められるもの(一部抜粋)
疾患群 | 治療状況等の状態 |
---|---|
膠原病 | 設定なし |
皮膚疾患 | 発達指数若しくは知能指数が二十以下であるもの又は一歳以上の児 童において寝たきりのもの |
[表4] 小児慢性特定疾病指定医の要件
以下のいずれかの要件を満たす意思であること
1. | 疾病の診断又は治療に5年以上従事した経験があり、関係学会の専門医(社団法人日本専門医制評価・認定機構が認める基本領域18専門医制度とSubspecialty領域29専門医制度)の認定を受けていること。 |
---|---|
2. | 疾病の診断又は治療に5年以上従事した経験があり、都道府県等が実施する研修(小児慢性特定疾病指定医研修サイト)を修了していること。 |
指定医研修用資料は小児慢性特定疾病情報センターからダウンロード可能である。